今月の一冊

邦訳されていない韓国文学を、月に一冊ずつ紹介します。また本に書かれた韓国文化や社会的要素を一緒に提供し、知れば知るほど面白い韓国をお見せします。

人は他人の苦しみを共有することが可能なのか――チョ・ヘジン『ロ・ギワンに出会った』

ときにはテクストを読み終えても、その感想を的確な言葉で説明し難い時がある。テキストに書かれている活字の意味と、そこに表されているイメージの距離が遠いほど、そうである。しかし、今回紹介するチョ・ヘジンの『ロ・ギワンに出会っ […]

旅をする理由は、手紙を書く理由は――ジャン・ウンジン『誰も手紙しない』

旅をする理由は、 手紙を書く理由は。   例えば。 あなたと私は、いつかどこかの道ですれちがったかもしれない。同じ宿に泊ったかもしれない。ちょっとした会話を交わしたかもしれない。空港で飛行機を待ちながら、海辺の […]

抗えない大きな力の前で――チョン・ミョングァン『鯨』

  後日、大劇場を設計した建築家によって初めてその存在が知らされ、世の中に広く「赤い煉瓦の女王」と紹介された、その煉瓦工の女性は名前をチュニ(春姫)と言った。戦争が終わろうとする年の冬、彼女は一人の乞食の女に馬 […]

敵意と無関心のはざまに光る生の営み――ファン・インスク『野良猫姫』

大丈夫。もう寒くないし、お腹も空かないし、怖くもないよ。雨が一回降るごとにどんどん寒くなって、真冬になるんだけどね。もうすぐ、君がこの世で一度も経験できなかった冬がやって来るんだ。ねぇ、仔猫ちゃん。この索漠とした町で、そ […]

さよならだけが人生ならば――キム・インスク『アンニョン、エレナ』

つらいから生きるのだ。似たような名前のエッセーが韓国で一時人気を集めたが、ここで紹介する作品に共通したテーマはまさに苦しみと生、そして家族に凝縮されている。 韓国の女性作家、キム・インスクが2009年に発表した『アンニョ […]

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